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久保田論文 第二章

KUBOTA STUDY CHAPTER 2

第二章 Early Days

米国のシンクタンクへの委託研究も終了して工場は物づくりに専念することになった。 そうこうするうち 米国のシンクタンクから Robot Designという冊子 が送られて来て、一応その件は終了して送ら れて来た冊子に目を通す時間もなく、面白そうな 案件が飛び込んで来た。 それはある県の農協からキュウリを大量に出荷しているが梱包の効率のため、また販売の外観の都合もあり出荷時にキュウリを20数種に仕分けする必要があるがこれに非常に多くの手をかけているが、これを自動的に出来ないかという話しである。 これを自動化するには頭で考える分にはいとも簡単である。 キュウリを1本ずつコンベヤの上に乗せ て送り、 ITV (工業用テレビ)で一本ずつ計測してコンピュータに送りコンピュータに覚え込ませた20 数種類の仕分けルール 従って夫々別の梱包に分ければ良い。 しかしだ、ITVとコンピュータが仕様通りに動いたとしてもこれだけでは役には立たないのだ。

   ⚫ 1日に何本のキュウリを選別するのか,
   ⚫ X本だとするとコンベヤの速度はどれ位になるか,
   ⚫ 上記条件だとコンベヤを複数台必要とするか、連続作業にするにはキュウリはコンベヤの列に沿った箱にコンピュータの指令通り自動的に投げ込むことになる。
   ⚫ 投げ込みに要する時間とコンベヤの速度から夫々の箱の間隔はこれ位になるので、コンベヤの延長は何メートル位になる、
   ⚫ 果物にもコンベヤを使うとすると熟度を計るための光学センサ のための長さも足しておくことにする
   ⚫ コンピュータとかITVの故障とか補修の時は人間が選別するようになるが、その時はコンベヤの速度を落とす必要がある。 コンベヤの速度は2段階とか数段階に変えられるようにするか。

というようなことを客先とかコンベヤを作る人達と話し合って決めなければ 実際に役に立たないのだ。また、このプロジェクトをわが社が受けるのか。すなわち責任納入者となるのか、コンベヤメーカが受けてわが社が下請けとなるのか、 ITVとコンピータよりもコンベヤのほうが コスト的には何倍にもなるから新しいシステムだけにどこが責任を負うのが難しい問題である。 ともあれわが社が一括受注することで 3セット受注して納入したが、コスト的に難しくて悩んでいたと ころ商社の中介で引き継ぐ会社があり当社は手を引いた。 こういう泥臭いことがAIでよく言うRealityであろう。

キュウリの案件に引き続いて魚の選別を自動的にやれないかという引き合いが来た。 魚の選別をどのようにして出来るのか、水産大学の先生に教えを乞うと魚紋を見れば判別出来ますということであるが当時のITVではコンベヤの上で動く魚の魚紋を判別するのは難しいということになった。 現在であればディジタルカメラの技術を使うことで解決出来たであろうが当時は適当なセンサがなかった。 しかし回帰函数を計算すればどうかという意見があり、サンマであれば95%の確率で判別出来ると いう結果が出たが95%では実用ではどうも、ということになり中止となった。 その後バス事業が不振であるから何とかならいかということで運輸省からの補助事業で次のバスの到着時間をバス停に表示出来るようにしたらどうかという話が実現し、ある私鉄沿線のバスに実施することとなった。実現のためには各バス停に バスのセンサが必要で停留所に表示器を設置し専用の回線も設けて、かなりの規模の事業となった。次のバスの到着時間は前のバス、その前のバス等々の到着時刻に、重み係数を掛けて、予測計算することとした。

テープカットの時は各界のお偉方が出席して大層なものだった。 実施してみる多少渋滞があっても平常は よく的中するが、突発的な事故が発生すると使いものにな らないようだった。 この事故とか咄嗟の場合とかは現代のAIにおいても多々問題があるようである。 今思い出すと今であれば その日の時間、 天気、季節をパメータとして入力しデータを取り、突発的 な事故の対策を考えて置けばバス会社としての良い経営資料となったであろう。
 

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